パンを分けるには?

3個のパンを5人に分ける方法。1回で、1切断面で分けれるのか?

面白い話をWebで読んだ。「人間がつくった最初の数」伊藤文治ଅ)

分数の起こりについての話だが、興味のある部分だけ抜き出した。ご容赦(詳しくはweb)。

TP: 三つのパンを5人で等分に分けるとき、どのように分けたらよいかという問題である。古代エジプト人は1より小さいあらゆる大きさを異なる単位分数(分子が1)の和で表されていた(注:エジプトの分数には分子がないឆ))。例えば、2/5=1/3+1/15、2/7=1/4+1/28のように。1/X+1/Yにして考える。また剰余計算は2倍、10倍だけで行われたようである。さて、現代人の多くは三つとも1つのパンを5等分(3/5)に切って分配するのではと思われる。しかし、古代エジプト人は、2と10、すなわち1/2+1/10(エジプト式の記載は、//10:斜線/はー)を用いたと著者は推測している。古代エジプト人はできるだけ大きなピース(単位分数)を一つ目と考え、最初にパンを三つとも半分(1/2)に切って5人に配る(半分は6つになるから、半分1つ余る)。残りの半分1つを5等分(1/2×1/5=1/10)して分ける。なるほど、面白い。興味ある方は下記文献ឆ)を。

大事なのはここからである。パンを切る回数である。三つのパンをそれぞれ5等分して各人に配るのには、3×4=12回パンを切る必要がでてくる。これに対して古代エジプト人は最初に一つを半分に切ったパン6個(三つを1/2カットする)のうち5個を各人に配り、残り半分の1個を5つに切って配る。すなわち、パンを切る回数は6回(3+3)で済む、とある。私は数学者でないので、1個のパンを3回の切断で均等に5個に分ける方法をすぐ思いつかなかったが、結構難しいか(3+4なら簡単だが)。もし、3回の切断で5個に分けるというのであれば、三つのパンをそれぞれ切って分ける回数は3×3=9回となる。これはさておき、古代エジプト人にとって必要なのは、切る回数を少なくすることだったと結論している。普通はふうん、とか、そうだったんだで終わってしまう。・・・・しかし、拙者(おきな)は違う。以下、暇があれば。

1回で5個に切り分ける方法を考えてみよう。古代エジプト人はもっと別な方法を考えたのでは?アレクサンドリア図書館のパピルスに書かれていたことを想像しよう。例えば、3枚のパンを重ねて半分に切ると1回、残り半分のパンを5個に切ると3回、合計4回で済むことになる。次にもっと切る回数を減らすことできないかと思案すると、パンを折り曲げることを思いつく。3枚のパンを重ねて、一番上のパンを折り曲げて(図1では4回曲げる)切ると、1回で3個のパンを半分(1/2)と残り1/5(全体の20%)を分けることができる。この場合のパンの切断面は7である。 

さらに合理的に考えると、3枚のパンを重ねて、一番上のパンを折り曲げて(図2では3回曲げる)切ると、1回で2個のパンを半分(1/2)、1個のパン(3枚目)は半分と1/5をつなげたものと残り1/5(全体の20%)を切り分けることができる。また、パンの切断面は6で済む。ただし、ここでは、パンの形はくびれや歪みがなく閉じられていて、重さ(質量)、形が同一で、すぐには崩壊しないパンであることを前提としてる。もちろん、五つのパンを分け与えていくとみんなにいきわたるパンではない。パンというと勝手に丸いパン、角食パンを想像してしまうが、先入観に注意が必要である。

1回のカットで、1つの断面で ここで終わっては「ささやき」にならない。3個のパンを1回で、しかも1つの断面で5つに切り分けることはできないのか?普通に考えると、おきなの頭では無理なので反則的なことを考える。あくまで、ユークリッド幾何学の中で、直線で切る場合を想定する。当然ながら包丁の刃も1枚である。1回のカットで、しかも1つの断面で3つに分けることができる方法が見つかれば5つに分けるのも同じことであるので、3つに分けることを考えてみる。

結合パン ここで、デフォルメしたパンを考えることにする。つまり、何でもありなパンを想像(創造)してもらいたい。1回で3つに切り分けることはできるが(図3a のようにパンを折り曲げるなど)、2つの切断面が生じる。「1つの断面しかもたない」ことが重要なポイントである。例えば、1か所の点でつながっているようなパンは、接続点を切っても1つの断面のみで3つにはならない(図3b)。あるいは、図3c のようになっていても3つにはならない。ただし、接点に関しては、分子レベルでの化学結合については考えないこととする。無理にプラトンのイディア(線分の比喩、洞窟の比喩)の話δ)をもち出すまでもない。

リングパン そこで、編み出されたのは、輪である。リングとなっているパンをリング1か所を切断すると分かれる仕組みである。図4a.は、2つのパンは一か所欠けた輪でつながっていて、固定している。一つのパンはその輪の中で動くことができる。同じ長さの箇所で輪を切ることで3つの同じパンに分けることができる。また、図4b.はaをデフォルメしただけであるが、2つの輪のパンがつながっていて、1つのパンがそのつながっている棒状の中を移動できる。棒状のパンの1箇所を切断すると3つの同じパンに分けることができる。当然であるが、3つに分かれたパンの形と重量は同じであるとする。すでにパンが分かれているのではないかとの批判があるだろうが、ひとつのパンとみなしてほしい(位相幾何学については全く無知である。能力の限界)。

タマゴパン 図5のように球の中にパンが入っている場合、1回のカットにより1切断面で3つのパンを生み出せる。図5aでは球のパンの中にそれと結合していない半分のパンが片側にある。このパンを半分に切った場合、切られた半球の2つのパンと中に入っていた半球のパンができる。図5bは球のパンに2つの空洞のパン(空洞でなくてもよい)が入っていて、全体のパンとは結合していない。この場合、球の全体を切らずに中の2つを取り出すと、3つのパンができる。形状は異なるが、3つに分かれたパンの重量は同じとする。

重力バランスパン 図6は、球のパンが3方向からの力(圧または引)でバランスが保たれている。②と③は切れ目があり、接している。①下の点線の部分できることにより3方向のbランスが崩れてそれぞれ分離する。これも1回で1切断面で3つのパンに分かれる例であろう。             

メビウスの輪パン—これはいままでの話とは異なる。メビウスの輪を切ると二つに分かれずに一つの大きな輪になると思っているのではないだろうか。これは、あくまで輪の中を切り進んで1周させたときである。当然ながら、輪の横を切るとひもになる(両端ができる)。しかし、ねじれの個所を折りたたんで輪に沿って半分に切ると二つに分かれる。普通の輪とメビウスの輪は位相空間(トーラス)としては同相であるからか?別々の二つの輪になるように切れたことがないので、試していただきたい。ただし、図7に示したように、輪の中を丸く切り抜き、折り曲げてその周囲を切り取るとメビウスの輪の本体の切り抜いた輪の二つができる。もちろん、3つの輪も作ることができる。輪の中に2つの穴を作って穴を合わせて折り曲げて切ると、本体と2つの輪ができる。メビウスの輪を切ると、1つの輪ができるだけではないのである。ちなみにメビウスの輪を一つの輪となるように一太刀で切ることのできる「メビウスの輪カット専用ハサミ」も考案したが。暇ならば作ってみてはどうか。

ダイラタンシーパン 液体状のパンで、1ヵ所カットすることで液体が流れ出して、容器への衝突で3つのパンに分けられる。いろいろ考えられるので図は省略する。

以上の他にもアイディアはどんどん沸いてくるのだが、そろそろ飽きてきた。もし、ここまで暇つぶしを読んでくれた方がいたなら、世界を変えてくれる天才と思われる。期待したい。

私は数学者ではありません。あくまで勝手な想像とフィクションを兼ねた、ささやきです。間違えもあると思います。我思うゆえに地球は縦長—irony ∸おきな∺

引用文献・参考図書

ଅ)伊藤文治.上越数学教育研究.33.11-20.2018. https://www.juen.ac.jp/math/journal/files/vol33/2018-total.pdf

ឆ)David Reimer.古代エジプトの数学.文明繁栄のアルゴリズム.磯田正美 監修.冨永 星 訳.丸善出版

δ)プラトン全集 11.国家(第6巻、第7巻). 岩波書店

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